派遣社員死亡損賠訴訟:派遣先に労災賠償命令 TOTO「偽装請負」認定−−大津地裁

大手住宅設備機器メーカー「TOTO」(本社・北九州市)の滋賀工場=滋賀県湖南市=で機械に頭を挟まれて死亡した西野尾茂信さん(当時39歳)の遺族が同社などに約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、大津地裁であった。西野尾さんは請負会社に所属していたが、石原稚也(ちがや)裁判長は「TOTOが指揮命令を行っていた」としてTOTOの安全管理責任を認め、同社などに約6140万円の賠償を命じた。業務委託(請負)を装いながら実際は派遣という「偽装請負」を認定して派遣先に労災の賠償を命じる判決は珍しい。

判決によると、西野尾さんは93年4月から同工場に勤務。07年5月、停止したトイレタンク製造ラインを再始動させようと機械の背部に入り込んだ際、機械が動き出して支柱との間に頭を挟まれ、死亡した。

西野尾さんはTOTOの協力会社と業務委託契約をした人材派遣会社に所属し、TOTOと直接の雇用関係はなかった。しかし、石原裁判長は遺族らの主張を認め、実態は偽装請負で、TOTOに安全管理義務があったと認定した。

TOTO広報部は「自社工場内で死亡事故が起きたことは誠に遺憾。判決文が届き次第、対応を考えたい」とコメントした。