派遣社員死亡損賠訴訟:TOTO労災事故、あす判決 /滋賀

住宅設備機器メーカー「TOTO」滋賀工場(湖南市)で07年5月、機械に挟まれて死亡した派遣社員、西野尾茂信さん(当時39歳)=甲賀市甲賀町=の遺族が、「偽装請負」状態の勤務で安全対策も不十分だったとして、同社などに約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、大津地裁である。判決を前に、茂信さんの父末吉さん(74)は「派遣社員だからといって、人間の命を軽視しないで」と語った。

訴状によると、茂信さんは停止した製造ラインの復旧作業中、機械と支柱の間に頭を挟まれ死亡。機械センサーに身を乗り出して手をかざす危険な復旧方法が常態化していたといい、末吉さんらは安全管理を怠ったと主張。同社は「西野尾さんは請負業者の指揮監督下で作業。当社に責任はない」と争っている。

茂信さんは給料で冷蔵庫や洗濯機を家族にプレゼント。亡くなる直前、「連絡が取りやすいように」と、田んぼで作業をする末吉さんに防水タイプを、母秀美さん(68)には操作が簡単な携帯電話をそれぞれ贈った。

今も会社からの謝罪はないといい、末吉さんは「茂信の命は故障して取り換えられた部品のようだ」と憤る。兄吉治さん(45)は「判決で真相が明らかになってほしい。悲しい目に遭う派遣社員が出ないように」と話した。